Artwork+Text Essay Wall Posts Signals

Signals #03 トマソ・ゴーラ

Tommasogorla
Tommasogorla
“The Modern Dance”, pencil on paper, 21x29cm, 2020, photo © Tommaso Gorla

「モダン・ダンス」 トマソ・ゴーラ

このドローイングは「モダンダンス」、私はただそう名付けた。
第一に、自己隔離の最中にWilliam Gibsonの”Virtual Light”を読んでいて、その章の一つの名前にこの言葉があったからだ。第二に、私にとって、このドローイングはダンスを思い起こさせるからだ。ダンスといっても、モダンだが優しく曖昧なダンスのことで、それがここにはぴったりのように思えた。手の動きは自由だけれど、身体のほんの限られた放浪でしかないことを反映しているかのように、究極的には囲まれてしまう。それはまるで秘められた強制的なパターンを自らなぞるかのように回転し、自らの形を探求し続ける脆い渦だ。
私は思うのだが、ソロダンスとは一体何なのだろう?もし自己隔離の、とある短い瞬間のことでないとしたら。
2020年5月4日

Tommaso Gorla
トマソ・ゴーラはイタリア人のアーティストで、視覚芸術への学際的なアプローチを持つ研究者だ。彼はパリの社会科学高等研究院で人類学の博士号を取得しており、現在はフランスのLAS – Laboratoire d’Anthropologie Socialeのメンバーである。彼は視覚文化の学術雑誌Anima Lociの創設者兼編集長を務めるほか、現代音楽とサウンドアートに焦点を当てた巡回プロジェクトであるEl Cocuy Projectsの創設メンバーおよびキュレーターを務めている。彼の関心は主にイメージエージェンシーと知覚の心理学のトピックを中心に展開しており、彼は様々な手段、特にドローイングを通して探究している。彼は理論的な研究に伴う作家活動に加え、講演、出版、展覧会を含む学芸活動を行なっている。イタリア北部在住。
https://tommasogorla.co.uk/

中原一樹/アーティスト。1980年香川県生まれ。ベルリンを拠点に制作活動を続けている。2010年、ベルリン・ヴァイセンゼー美術大学修了、2011年に同大学にてマイスターシューラー取得。2013年、公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修制度によりロンドンで滞在制作。2017年、優れたドローイング、版画作家に贈られるクリスチーネ・ペルゼン賞をベルリニッシェ・ギャラリーより受賞。