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Signals#20 マリーナ・フェレッティ

Cherry-tree time_Series 04 (a), Silver Acrylic Tempera on tissue paper, 35×25 cm, 2020 © Marina Ferretti

5月の初め、ロックダウンの日々の中で、私は数平方メートルの庭で野菜を育て始めた。それぞれの植物種のニーズに応じて、庭のさまざまな場所に鉢を並べて置いた。私はかつてないほど、植物たちがそれぞれの道筋を描き、またその軌跡を示唆するのを観察する時間があった。日々展開する小さな変化を、肉眼で見ることができるようになったのである。 最初は緑の極めて小さい未熟な球体、そこから発生した巻きひげは、足掛かりを求めて1時間ごとに形状を変えていった。全ては動いていて、やがてブラックソーンと桜の木は最初の果実を実らせた。

これらのドローイングは、むしろメモと言ってもいいのだが、こういった極めて小さな出来事の進行を視覚的に変換したものだ。これら自体は全くもってありきたりなものだが、隔離期間によって与えられた時間の宙吊りという状況によって、特別に作られたものでもある。この最小限の線の中に、私は、小さな庭の制限の中で行われたある途方もない「戸外制作」のような、長期間かつダイレクトな観察の結果を見ることができるように思うのだ。

マリーナ・フェレッティ

1982年、イタリアのポルデノーネで生まれる。彼女の研究は写真・ドローイング・ビデオを含み、その作品は特に「家」「自然」「建築」といった概念の間の関係に焦点を当てている。2005年ヴェネツィアのBevilacqua La Masa財団助成金を受賞し、ウディネにあるVilla Manin Art Centreにて第四回ManinFesto Sculpture and Installation in Friuli Venezia Giulia賞も受賞。彼女はこれまでGalleria d’Arte Contemporanea di Monfalcone、Studio d’Arte Cannaviello、Villa Manin Centro d’Arte Contemporanea、Fondazione Bevilacqua la Masa、Fondazione Francesco Fabbri、Trento Film Festival / MUSE、Galleria Giuseppe Peroなど、さまざまなギャラリーや文化施設で展示している。彼女のドローイングのいくつかはドイツ銀行のコレクションに収蔵されている。

instagram : @marina_ferretti_

Cherry-tree time_Series 04 (b), Silver Acrylic Tempera on tissue paper, 35×25 cm, 2020 © Marina Ferretti
Cherry-tree time_Series 04 (c), Silver Acrylic Tempera on tissue paper, 35×25 cm, 2020 © Marina Ferretti
Cherry-tree time_Series 04 (a-detail), Silver Acrylic Tempera on tissue paper, 35×25 cm, 2020 © Marina Ferretti