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Signals#21 進藤詩子

進藤詩子、《無題(冬の経)》(部分)、折った水彩紙に墨、1000×1000× 65mm(撮影:作家)

無題 (《冬の経》より)

そして遂に

Judith は勝利し 真実が姿をあらわす 水彩の陰りの中の 《月の位相》の如く

引かれた線と線は  忘れ難いほど占有されない あの間を 捉えようとする

/ 夜明けより先に 宵闇の近くに /

その一年半前

メサに暮らす 明を名に持つ人は語った 部屋から見えるそれを 「「良い山だ」とアグネスは表した」と

闇に代わって 陽光が満たす 向かい合う壁に掛かる 彼女が引いて描いたペインティングと 唐詩の書

/どんなふうに線を引いたら ドローイングは影になる/

 

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風清一樓月;室靜半枕書

風清らかな夏の月夜に一軒の家
静かな部屋で身を傾け書を読む

心同孤鶴靜;節效古松貞

心は静かな鶴の孤独さと同じ
古い松のように貞節を尽くす

 

進藤詩子

進藤詩子は美術家として国際的な活動を通し「翻訳不可能性の詩学」を追求している。 2018年度文化庁新進芸術家海外研修員として、アメリカ合衆国ニューメキシコ州でアグネス・マーティンの「抽象表現」を探る。同庁のコロナ禍での活動継続支援を受け、近年のリサーチと制作活動を反映した新作「Meeting and Greeting Like Shadows」を on-site(遊工房アートスペース、東京)とonline(https://www.utakoshindo.info/sp/exhibition2021/)とで発表。進藤はヴィクトリアン・カレッジ・オブ・ジ・アーツでBFA(ドローイング専攻)とMFAを修了。メルボルン大学芸術学部付属学際的思想研究センター(the Centre for Ideas)にて博士号取得(2017年)。

https://www.utakoshindo.info/
Instagram utako_shizi

進藤詩子、《無題(冬の経)》(部分)、折った水彩紙に墨、1000×1000× 65mm(撮影:作家)
進藤詩子、《無題(位相)》水彩紙に墨または胡粉、各134×134 mm (撮影:柳場大)
進藤詩子、《無題(冬の経)》(展示風景)、折った水彩紙に墨、1000×1000× 65mm(撮影:作家)