Artwork+Text Essay Wall Posts Signals

Signals#28 ニコル・レンジ

“Sight Drawing (Shimmer) No. 14, 3:12 p.m.” Shadows and Shimmer in the City © 2021 Nicole Lenzi

私の芸術は、ドローイングとは何かを問うものだ。私は何年もの間、ドローイングの拡張に関する実践について、ブログを書いてきた。多くの投稿を経て私は、自らの周囲にドローイングが浮かび上がってくるように見え始めた。影は特に興味深いものだった。私はiPhoneでこれらの一時的なドローイングを記録し始め、最終的にはサイトドローイング(Sight Drawings)と呼ぶことに決めた。これらのドローイングは、形が生成されていく段階にあるように見えたので、私自身はその観察に介入しないように気を配った。そうすることで、作品は開かれたままの状態となった。

パンデミックによって、この活動は数か月の間中断した。しかしロックダウンが解除され始めた時に、私は何かの用事をこなすためや新鮮な空気を吸うために街中を歩き回り、より多くのイメージを記録した。交通量と人が少なくなったので、視覚的なスペースが増え、光と影および都市建築が、どのような相互作用を引き起こすかに焦点を当て始めた。これら3つの相互作用は、次に一体何が起こるのかについての想像力をかき立てるものだった。最終的に、このシリーズはShadows and Shimmer In the Cityと呼ばれることになった。

ニコル・レンジ

Nicole Lenziは、ドローイングの概念を拡張するために、インスタレーション、写真、紙の作品など、分野の境界を越えたアプローチを行っている。レンジはこれまで、アメリカ、韓国、イギリスで展示を行ってきた。ワシントンD.Cメトロエリアにおけるトラウィック賞のファイナリストで、カーネギーメロン大学にて学士号、およびメリーランドインスティテュートカレッジオブアートにて修士号取得。コンテンポラリードローイングに関するブログ「Expanded」を2015年より継続している。ボルチモア(メリーランド州)を拠点に活動。

Expanded : https://expandeddrawingpractices.blogspot.com/
Nicole Lenzi : https://www.nicolelenzi.com/
instagram : @nicole_lenzi_studio

“Sight Drawing (Shadow) No. 26 1:57 p.m.” Shadows and Shimmer in the City © 2021 Nicole Lenzi

鈴木ヒラク/アーティスト。1978年生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修了後、シドニー、サンパウロ、ロンドン、ニューヨーク、ベルリンなどの各地で滞在制作を行う。ドローイングを核として、平面/インスタレーション/彫刻/パフォーマンス/映像など多岐に渡る制作を展開。著書に『GENGA』などがある。現在、東京芸術大学大学院美術研究科非常勤講師。