‘Drawing Performance: Abstraction from Germany and the United States’(ドローイングパフォーマンス:ドイツとアメリカにおける抽象表現)という展覧会がベルリンのインガ・コンダイナ・ギャラリーにおいて開催されている。
当企画はネブラスカ州を拠点に活動している作家でありキュレーター、James Bockelman (ジェイムズ・ボッケルマン)のもので、ベルリンからの作家9人、アメリカからの作家6人の作品で構成されている。この展覧会は1年を通して3つの異なる場所を巡回した。最初にネブラスカ州リンコルンのタグボートギャラリー、続いてネブラスカ州コンコルディア大学のマックスハウゼンギャラリーにおいて開催された後、ベルリンのギャラリーインガ・コンダイナへと巡回している。
“What is a drawing? No one knows any longer… Something that doesn’t require that you wait while your making it for it to dry? Something on paper? It’s question of emphasis. Thanksgiving. Art…”
ドローイングとは何か?もはや誰も知らない…。何かを作っていてそれが乾く間になされるだけの必要ではないもの?紙の上の何か?それは重要な疑問だ。感謝の祈り。アート…。
‘Drawing Performance: Abstraction from Germany and the United States’(ドローイングパフォーマンス:ドイツとアメリカにおける抽象表現)という展覧会がベルリンのインガ・コンダイナ・ギャラリーにおいて開催されている。
当企画はネブラスカ州を拠点に活動している作家でありキュレーター、James Bockelman (ジェイムズ・ボッケルマン)のもので、ベルリンからの作家9人、アメリカからの作家6人の作品で構成されている。この展覧会は1年を通して3つの異なる場所を巡回した。最初にネブラスカ州リンコルンのタグボートギャラリー、続いてネブラスカ州コンコルディア大学のマックスハウゼンギャラリーにおいて開催された後、ベルリンのギャラリーインガ・コンダイナへと巡回している。
展示に際して、ボッケルマンはジョン・ケージの言葉の引用から、今までカテゴライズされる事のなかったドローイングという「分野」について改めて疑問提示をしている。
“What is a drawing? No one knows any longer… Something that doesn’t require that you wait while your making it for it to dry? Something on paper? It’s question of emphasis. Thanksgiving. Art…”
ドローイングとは何か?もはや誰も知らない…。何かを作っていてそれが乾く間になされるだけの必要ではないもの?紙の上の何か?それは重要な疑問だ。感謝の祈り。アート…。
ドローイングとは何か?この問いに対するボッケルマンの答えは、今日のドローイングは「もの事が起こる場所」と言うことだ。その上で、ドローイングに関する3つの基本的な要素、「表面」(Surface)、 「活動」(Activity)、「登記」(Registration)をあげている。
彼の文章によると、「表面」とは作家がパフォーマンスを行った所、もしくはこれから行われる場所の事だ。作家が素材にドローイングを行う以前に、「表面」にはレディメイドのイメージが存在している。例えばボール紙のパッケージや未完のクロスワードパズル、もしくは真っ暗な劇場など。ただの一枚の白い紙でさえ、そこには既に心理的な緊張感がある。作家はそういった表面に対して、一本の線を引き、それぞれの境界を指し示す。
ドローイングはまた、人間の「活動」における儀礼的なものである。作家は何かを観察し、手に宿る認識とともに筋肉にインプットされている記憶を用いて、世界をどの様に捉えているかを現実に写しだす。
こうした一連の身ぶりの総体は、「表面」上に記録されるだけでなく、目の動きの中にも記録される。誰かが鏡にキスをすると、マークは鏡面上にある視覚的な痕跡であると同時に、身体的な動作の記録となる、とキュレーターは言う。この様に、ドローイングはパフォーマンスを「登記」する。
今回の展示作品にはシンプルな紙に鉛筆といったものから、ダンス、映像、トレーシングペーパー、プリントされた紙などが素材として用いられており、作家の様々なジェスチャーや思考のプロセスを想像できた。ドローイングにおける3つの根本的な要素は互いに絡み合うことで作品を成立させていた。
執筆: 中原一樹
Drawing Performance: Abstraction from Germany and the United States
(ドローイングパフォーマンス:ドイツとアメリカにおける抽象表現)
期間: 2017年6月23日〜7月29日
場所: ギャラリー、インガ・コンダイナ (ベルリン)
参加作家: ドイツから> カルステン・ジーバース, ナディネ・フェヒト, アレクサンダー・クレンツ, ハンナ・ヘンネンケムパー, ヨハネス・レギン, 中原一樹, フランク・タッフェルト
アメリカから> ハムレット・ドッビンス, フローラ・ビークマン, ジェレッド・スプレチャー, スティーブ・ロデン, マシュー・ソンサイメー, ジェイムス・ボッケルマン
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