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Signals #10 シクステ・カキンダ

Sixte Kakinda, Monologue II (detail panel 1, work in progress), drawing on paper, 2020

モノローグ
モノローグ(*一人芝居)とハッチング(*細い平行線を引いて影の効果を付けるもの)には共通点があると思う。それは動きだ。また、破裂することや、ある種の散乱、ということも共通しているかもしれない。一人芝居によって、人は自分自身と顔を合わせたり、あるいは2人の他者として、現在のパンデミックのようなテーマについて議論したり、じっくり考えたりすることができる。

私たちのアイデアがどのような方向に向かうかは不確定だ。ハッチングのために線の方向はあらかじめ決まっているが、その配置の美しさ、動きの美しさは予測できないままだ。それは、イメージを構築している間に発見される。

紙の上の線は互いに平行である。時には交差したり、重なったりする。他の線が目立ち、浮かび上がって、また他の線に追い越される。それらがひとつになって、最終的なドローイングが完成する。独白の間の、私たちのアイデアのように。
そしてもしも、これらの線やアイデアこそが、自らを増殖させることによって真実、解決策、最終的なイメージを引き出す力を持つのが唯一のものだとしたらどうだろう?

私はこの引きこもりのひとときを利用して、あるプロジェクトを進めることにした。このドローイングは、今年8月に広島で開催される自身初の個展”Intimate Moments”(親密な瞬間)の一部だ。”Intimate Moments”では、1945年に広島で原子爆弾が爆発した時に、日本とコンゴの間に築かれた、目に見えないリンクについての作品を展示する。この原爆には、ベルギー領コンゴのシンコロブエ鉱山から採掘されたウランが含まれていたのである。(詳細: https://dsixte.wixsite.com/kakinda/intimate-moments-monologue )

Sixte Kakinda
コンゴ出身で、現在は日本在住のシクステ・カキンダは、東京藝術大学で修士号を取得した独学の漫画家である。ドローイングのひとつの方法論として、他の芸術分野にドローイングを拡張することに関心を持つ。アートパークギャラリー(ソウル、2019年)、ライプツィヒ現代美術ギャラリー(ライプツィヒ、2017年)、アントワープ現代美術館のInbox(アントワープ、2015年)など様々なグループ展に参加している。
ウェブサイト : https://dsixte.wixsite.com/kakinda
Instagram : @x.d.lab
Facebook : Expanding Drawing Lab

Sixte Kakinda, Monologue II (detail panel 1, work in progress), drawing on paper, 2020
Sixte Kakinda, Monologue II (panel 1), ink on paper, 1000mm x 1500mm, 2020

鈴木ヒラク/アーティスト。1978年生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修了後、シドニー、サンパウロ、ロンドン、ニューヨーク、ベルリンなどの各地で滞在制作を行う。ドローイングを核として、平面/インスタレーション/彫刻/パフォーマンス/映像など多岐に渡る制作を展開。著書に『GENGA』などがある。現在、東京芸術大学大学院美術研究科非常勤講師。