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Signals#17 ヴァネッサ・エンリケス

Untitled (Sketch for Fluctuations), 2020, Cut carbon paper, 21 x 29 cm
© Vanessa Enríquez

“Fluctuations “は、私がVHSテープをドローイングの道具として使う実験から生まれた空間的なドローイングのシリーズである。少しずつ増加していく繰り返しと重力の効果を使用して、一連の懸垂線(カテナリー曲線)が空間にドローイングを生成するようにVHSテープを広げていく。それは時空の歪みを描いたグラフィックを思い起こさせる。最近のプロジェクトでは、特定の形状を実現するために、パラメトリックモデリングのソフトウェアと計画を繰り返した。このシリーズは、量子物理学で量子ゆらぎとして知られているもの、つまり空の空間からのエネルギー粒子の一時的な出現について言及している。 それは無の性質、つまり物質であると同時に非物質でもあるような、空の空間とリアリティーの多次元的な性質についての詩的な反映である。

現在の世界的なパンデミックや、世間の認識や反応の二極化が進む中で、“Fluctuations VI”は、全てのものがポジティブな面とネガティブな面の両方を含んでいることについての理想的なメタファーだと感じている。作品は透明と黒さの間で揺れ動き、見る者の認知的不協和を生み出そうとする。そして、主体と客体、精神と身体、男性性と女性性、秩序と混沌を統合することによって、この不確実な時代のかじ取りをうまく行うための知覚の変換を模索しているのだ。

ヴァネッサ・エンリケス

メキシコ出身。スピリチュアルな実践と現代科学から、自然の中の相互接続性を示す隠されたパターンを明らかにする試みを行っている学際的なアーティストである。瞑想的で探究的な実践としてのドローイングに焦点を当て、多様な素材やプロセスを用いて、設定された振り付けや方向性を持った即興を行い、持続的、反復的、漸進的な刻印を作り出す。エール大学芸術学部で修士号を取得し、2000年にブラッドベリ・トンプソン記念賞を受賞。2017年にはメキシコのSNCAフェローシップを受賞。彼女の作品は、ドイツ、メキシコ、アメリカ、イギリスなどの美術館やギャラリーでの個展やグループ展の他、通常は展覧会に使われないような空間でも展示されている。

website : http://vanessaenriquez.net/
instagram :_vanessa.enriquez_

Fluctuations VI (3D Model and Plan), 2020 © Vanessa Enríquez
Fluctuations VI (Exhibition view), 2020, VHS Tape, Variable dimensions © Vanessa Enríquez