Signals#19 ケイリー・ジェーン・ハリス

“Line From Light”シリーズ

昨年は視点の転換を余儀なくされたが、それはかつてそうであったことや、そうであり得たことを見つめ直す為のシグナルでもあるのかもしれない。これまで通常と考えられていたものが不確実になったが、光、線、紙、これら3つ全ては馴染みのままだ。しかし、新しいレンズを通してこれらを組み合わせ、見つめることで、新しい結果を浮かび上がらせることが可能なのだ。
光で描くドローイングのプロセスには意向を凝らす面白さがある。
フォトグラムによって眼差しが隙間を捉えることができるのだ。それを通して私たちが知っていた、あるいは見ていたと思っていたものの別の側面が現前する。しかも、すべての結果には、全くと言って良いほど馴染みがなく、異世界であるものが映し出されている。これらの小さなシリーズ作品は、身近にある最小限の素材の、そうであり得た姿を見つめ直すことによって、ある隙間へ引き出されたのである。

ケイリー・ジェーン・ハリス

英国南西部を拠点に活動中。
彼女のミニマルな作品は、偽りのない痕跡、素材の手軽さに寄るものが大きく、線を通して一見普通に見える視覚的な可能性を広げることを目指している。人間の活動と相互作用する素材との間にある空間を抽出、蒸留、記述しアーカイブすることに焦点を当て、伝統的な素材を再検討することで視覚的な広がりをどのように得ることができるかを問う。この実践において、行為と対象両方としてのドローイングは新しいものの見方と理解の仕方を刺激することによって、思考の持続的な燃料になりえる。

instagram : @kayleighjayneharris